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人工妊娠中絶手術による合併症
患者さまの安全に配慮して丁寧に手術を行っても、合併症のリスクを0%にすることはできません。国内では、子宮穿孔によって腸管が損傷し、開腹手術に至った事例、さらに腸管の切除、子宮の全摘などを要する重篤な事例も報告されています。
当院では幸い、手術後、妊娠に支障をきたすほどの合併症を引き起こした例はございません。術後3、4日すると中に溜まった血液が出てくるため、腹痛や発熱などの症状を訴える方がいらっしゃいますが、これらの症状は一時的なものです。抗生剤や子宮収縮剤を服用することによって和らいできます。
人工妊娠中絶手術による妊娠・不妊症への影響
人工妊娠中絶手術を受けたからといって、必ずしも妊娠できない身体になるわけではありません。手術は確かに合併症などのリスクも伴いますが、正しい処置方法で行われた場合、術後に不妊症になる可能性は低いのが現状です。
人工妊娠中絶手術は、母体保護法に準じて行われます。それにもかかわらず、一部の医師が固定概念や偏見によって、不妊を連想させるような説明を行っていたこともありました。
しかし今、医師の使命は、患者さまが同じ過ちを繰り返さないよう、責任をもってアドバイスをすることだと心得ています。そのため、当院では中絶手術後に低用量ピルの服用をおすすめしています。
人工妊娠中絶手術は、心身ともに負担がかかることは避けられません。そのため、患者さまご自身が信頼できる医療機関を検討することが大切です。
中期中絶で起こりうる合併症(※当院では中期中絶は行っておりません)
妊娠中期(12週0日~21週6日まで)に入ってから行う人工妊娠中絶手術は、初期の段階で行う場合よりリスクもあがりますので、それを踏まえて手術を検討することが大切です。
手術の流れとしては、胎児を出しやすくするため、子宮口にラミナリアという棒や、メトロイリーゼという小さな風船を挿入します。さらに、陣痛を誘発するゲメプロスト腟坐剤を膣内に3時間おきに入れます。
なお、胎児が出てくるまでには数日かかることもあるため、入院が必要となりますし、陣痛をくり返すことで心身ともに患者さまに負担がかかります。
身体面では、頚管を拡張する際に子宮頚管裂傷を引き起こしたり、陣痛を誘発しすぎて子宮破裂を引き起こしたり、子宮の収縮不全などによって多量出血を引き起こしたりといったリスクが考えられます。
精神面では、手術時の陣痛に加え、術後、役所に死産届を提出したり、胎児の埋葬許可証を発行する手続きをしたりする負担もかかるかと思います。